介護指定事業場の取り消し問題

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 これまで、介護事業場においては、不正な請求などで取り消しが多数発生していました。

 これは、全くの架空請求もあれば、2重の請求、処理のミスなど様々な理由があります。

 ただ、いったん取り消しにあうと、単なる指定の取り消しなどではなく、介護保険の利用ができない、つまり、介護保険を使用しなくても構わないような利用者でない限り、利用が当面なくなってしまうということに他なりません。

 

 当然、利用者たちも困りますが、一度取消に会うと、再び復活するには、余ほど体力がないと厳しい状況になってしまいます。

 

 今般、この指定をしない事由に、労働関係の法令違反が含まれてしまう事になりました。


介護保険法第70条

 第四十一条第一項本文の指定【※指定居宅サービス事業者の指定】は、厚生労働省令で定めるところにより、居宅サービス事業を行う者の申請により、居宅サービスの種類及び当該居宅サービスの種類に係る居宅サービス事業を行う事業所(以下この節において単に「事業所」という。)ごとに行う。

2 都道府県知事は、前項の申請があった場合において、次の各号(病院等により行われる居宅療養管理指導又は病院若しくは診療所により行われる訪問看護、訪問リハビリテーション、通所リハビリテーション若しくは短期入所療養介護に係る指定の申請にあっては、第六号の二、第六号の三、第十号の二及び第十二号を除く。)のいずれかに該当するときは、第四十一条第一項本文の指定をしてはならない

 一 ~ 五(略)

 五の二 申請者が、労働に関する法律の規定であって政令で定めるものにより罰金の刑に処せられ、その執行を終わり、又は執行を受けることがなくなるまでの者であるとき。

 

 

 

 ある介護経営コンサルタントが、「罰金刑に処せられ、その執行を終り、執行を受けることがなくなるまでの者」という文言から、「罰金刑による指定取り消しは妄想だ」と言っていました。

 罰金を納めてしまえば、執行は終了するから、事実上ないに等しいと・・・


 しかし、罰金の執行が終了というのは、払ってしまえば終わるわけではなく、当面は終わらないことになっています。

 

刑法第34条の2

 禁錮以上の刑の執行を終わり又はその執行の免除を得た者が罰金以上の刑に処せられないで十年を経過したときは、刑の言渡しは、効力を失う。罰金以下の刑の執行を終わり又はその執行の免除を得た者が罰金以上の刑に処せられないで五年を経過したときも、同様とする。

2 刑の免除の言渡しを受けた者が、その言渡しが確定した後、罰金以上の刑に処せられないで二年を経過したときは、刑の免除の言渡しは、効力を失う。

 

 つまり、刑事裁判で判決が出て確定すると、前科となり、各市町村に犯罪人名簿として登載されることになります。

 罰金を払って5年経過する時点で刑罰が消滅、あるいは罰金が確定して払わないまま2年が経過したときに、ようやく消滅することになります。


 刑事手続きに関わったものであれば、当然の知識ですが、一般には刑事手続きに関わった方というのは、民間には弁護士しかいません。

 

 罰金刑を受けて払えば終わるのだったら、こんな条文を作ることはありません。

 このような知識不十分の人が介護経営コンサルタントしているので、介護保険の指定取り消し事案がなくなってこなかったのかもしれませんが。

 

詳しくは、こちらまで。 

 

 


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